知的生産とは?
このところ、本などでよく見かけるこの言葉、「知的生産」。
この言葉を作ったのが、故・梅棹忠夫その人なのです。
1965年から雑誌「図書」に連載されていた記事をまとめて、
1969年に岩波新書にとして発表されたのが、名著「知的生産の技術」。
- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/07/21
- メディア: 新書
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「知的生産」について、その中でこう説明されている。
知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがらー情報ーを、ひとにわかるかたちで提出することなのだ。(9ページ)
今でこそ、やれアイデアだ、やれイノベーションだと言われるけども、
この本が発表された時代は、まさに高度経済成長期。
「(欧米に)追いつき追い越せ」をスローガンに、
(既存の製品を)より安く、より多く作って売ろう…という時代。
この時代に、現代に通じる「情報」について考えているあたり、もうスゴイ。
さらに、知的生産の重要性についてはこのように。
今日では、情報の検索、処理、生産、展開についての技術が個人の基礎的素養として、たいせつなものになりつつあるのではないか。(18ページ)
と。もはや、予言のよう(笑)
インターネットやパソコンの普及など、使える道具や社会環境は変化したけれど、
人間自体は、ここ数十年くらいではさほど進化していない。
知的生産の「手段」は、その頃とは大きく変わっても、
知的生産の「目的」は、むしろ重要になっているように思う。
現代では、高度経済成長期に求められた「物質生産」よりも、
アイデアやイノベーションのような「知的生産」が、重視される。
たとえ物質生産をするにしても、ただ同じモノを作るだけでは勝負できない。
さらにいえば、物質でなく情報やサービスを提供するにしても、
ヒトと違うサービスを追求しないと勝負していけない。
そういう意味では、この「知的生産」ってのは今でこそ注目されるべき言葉だと思うのです。